『アルタセルセ』 159
レオナルド ヴィンチ
アルタセルセ ㊚ フィリップ・ジャルスキー CT
マンダーネ ㊛ マックス・エマニュエル・チェンチッチ CT
アルバーチェ ㊚ フランコ・ファジョーリ CT
セミーラ ㊛ ヴェラール・バルナ=サバドゥス CT
メガビーゼ ㊚ ユーリィ・ミネンコ CT
アルタバーノ ㊚ ダニエル・ベーレ Tr
指揮 ディエゴ・ファソリス
演奏 コンチェルト・ケルン
『インテルメッゾ』 158
2016年 6月 20日鑑賞
ハンニー・シュテフェク - Hanny Steffek (ソプラノ)
- ヘルマン・プライ - Hermann Prey (バス・バリトン)
- アニー・フェルベルマイヤー - Anny Felbermayer (ソプラノ)
- フェリー・グルーバー - Ferry Gruber (テノール)
- アルフレート・ペル - Alfred Poell (バリトン)
- ジュディス・ヘルヴィヒ - Judith Hellwig (ソプラノ)
- ワルデマール・クメント - Waldemar Kmentt (テノール)
- オスカー・チェルヴェンカ - Oscar Czerwenka (バス)
- アロイス・ペルネルシュトルファー - Alois Pernerstorfer (バリトン)
- ルートヴィヒ・ヴェルター - Ludwig Welter (ヴォーカル)
- イレーネ・ワラフ - Irene Walach (ヴォーカル)
- マリー・クロード・シャピュイ - Marie-Claude Chappuis (ヴォーカル)
- ヘレン・ヴォペンカ - Helene Vopenka (ヴォーカル)
- ウィーン国立歌劇場合唱団 - Vienna State Opera Chorus
- ウィーン国立歌劇場管弦楽団 - Vienna State Opera Orchestra
- ヨーゼフ・カイルベルト - Joseph Keilberth (指揮)
マイヤーの『トリスタンとイゾルデ』 157
157、2016年6月21日
ジョン・フレデリック・ウェスト(トリスタン)
ヴァルトラウト・マイヤー(イゾルデ)
クルト・モル(マルケ王)
ベルント・ヴァイクル(クルヴェナール)
マルヤナ・リポヴシェク(ブランゲーネ)、他
バイエルン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
ズービン・メータ(指揮)
演出:ペーター・コンヴィチュニー
装置&衣装:ヨハネス・ライアッカー
収録時期:1998年
収録場所:ミュンヘン、バイエルン国立劇場(ライヴ)
映像監督:ブライアン・ラージ
恵比寿のガーデンシネマで、ヴィスコンティーの『ルードヴィッヒ』のデジタル復刻版が公開されるとういので、半休をとって、観に行った。
さほど、冴え冴えしく、画像がリフレッシュされているようには、思えなかった。同時のイベントで公開された、『山猫』のほうが、メリハリがついていたようだ。
『ルードヴィッヒ』を観たら、『トリスタン』に浸りたくなって、今回のこれであった。ヴァルトラウト・マイヤーがよかった。演出は、何時代か分からないだけでなく、とにかっく無茶苦茶。青臭い演出だった。
久々の能鑑賞『小鍛冶』2016/6/15
能「小鍛冶」は祝言性の高い切能の傑作である。わかりやすい筋書きに沿って、動きのある舞が華やかな舞台効果を作り上げる。囃子方と謡も軽快でリズミカルだ。全曲を通じて観客を飽きさせることがなく、現在でも人気曲の一つとなっている。始めて能を見る人でも十分に楽しめ、それだけに上演頻度も高い。
作者、典拠は不明であるが、古い能であるらしい。浄瑠璃や歌舞伎にも取り上げられている。稲荷大明神の神徳によって名刀を作るという筋からして、あるいは、刀鍛冶集団と稲荷霊験譚が結びついた古い伝説があったのかもしれない。
筋書きは、一条の院より剣の鋳造を命ぜられた小鍛冶三条宗近が、進退窮って稲荷明神に救いを求め、その神力によって無事名刀小狐丸を打ち上げるという単純なもの。前段では、童子に姿を変えた稲荷明神が、漢家本朝の剣にまつわる伝説を語り、後段では明神自ら手を貸して剣を打つ場面が演じられる。ともに見所、聞き所に富んだ場面である。(なお、小鍛冶とは刀工をさしていう当時の言葉)
舞台にはまず、一条の院の勅使が現れ、三条宗近に剣の鋳造を命じる宣旨を伝える。(以下、テキストは「半魚文庫」を活用。)
ワキツレ詞「これは一条の院に仕へ奉る橘の道成にて候。さても今夜帝不思議の御告ましますにより。三条の小鍛冶宗近を召し。御剣を打たせらるべきとの勅諚にて候ふ間。唯今宗近が私宅へと急ぎ候。いかに此家の内に宗近があるか。
ワキ「宗近とは誰にてわたり候ふぞ。
ワキツレ「是は一条の院の勅使にてあるぞとよ。さても帝今夜不思議の御告ましますにより。宗近を召し御剣を打たせらるべきとの勅諚なり。急いで仕り候へ。
ワキ「宣旨畏つて承り候。さやうの御剣を仕るべきには。われに劣らぬもの相鎚を仕りてこそ。御剣も成就候ふべけれ。これはとかくの御返事を。申しかねたるばかりなり。
ワキツレ「げに/\汝が申すところは理なれども。帝不思議の御告ましませば。頼もしく思ひつゝ。はや/\領承申すべしと。重ねて宣旨ありければ。
ワキ上歌「此上は。とにもかくにも宗近が。
地「とにもかくにも宗近が。進退ここに谷まりて。御剣の刃の乱るゝ心なり
けり。さりながら御政道。直なる今の御代なれば。若しも奇特のありやせん。それのみ頼む心かな。それのみ頼む心かな。
ワキ詞「言語道断。一大事を仰せ出されて候ふものかな。かやうの御事は神力を頼み申すならではと存じ候。某が氏の神は稲荷の明神なれば。これより直に稲荷に参り。祈誓申さばやと存じ候。
宣旨を賜った宗近は、自分一人の力ではとても出来るものではないと思い、氏神たる稲荷明神のもとに救いを求めてやってくる。すると一人の童子が現れ、悩める宗近に声をかける。
シテ呼掛「なう/\あれなるは三条の小鍛冶宗近にて御入り候ふか。
ワキ「不思議やななべてならざる御事の。我が名をさして宣ふは。いかなる人にてましますぞ。
シテ「雲の上なる帝より。剣を打ちて参らせよと。汝に仰せありしよなう。
ワキ「さればこそそれにつけても猶々不思議の御事かな。剣の勅も唯今なるを。早くも知し召さるる事。返す%\も不審なり。
シテ「げにげに不審はさる事なれども。われのみ知ればよそ人までも。
ワキ「天に声あり。
シテ「地に響く。
上歌地「壁に耳。岩の物いふ世の中に。岩の物いふ世の中に。隠はあらじ殊になほ。雲の上人の御剣の。光は何か闇からん。唯頼めこの君の。恵によらば御剣もなどか心に適はざる。などかは適はざるべき。
不思議がる宗近に対して、童子は君の恵みがあれば、必ず願いが適うといい、漢家本朝における剣の功徳について語り始める。
話の内容は、主に日本尊と草薙の剣についてである。ここは三段グセと呼ばれ、この曲前半の見せ場ともなっている。
クリ「それ漢王三尺の剣。居ながら秦の乱を治め。又煬帝がけいの剣。周室の光を奪へり。
シテ「その後玄宗皇帝の鍾馗大臣も。
地「剣の徳に魂魄は。君辺に仕へ奉り。
シテ「魍魎鬼神に至るまで。
地「剣の刃の光に恐れて其寇をなす事を得ず。
シテ「漢家本朝に於て剣の威徳。
地「申すに及ばぬ奇特とかや。
クセ「また我が朝のそのはじめ。人皇十二代。景行天皇。みことのりの御名をば日本武と申しゝが。東夷を。退治の勅を受け。関の東も遥なる。東の旅の道すがら。伊勢や尾張の海面に立つ波までも。帰る事よと羨み。いつかわれも帰る波の。衣手にあらめやと。思ひつゞけて行くほどに。
シテ「こゝやかしこの戦に。
地「人馬巌窟に身を砕き。血は?鹿の川となつて。紅波盾流し数度に及べる夷も兜を脱いで矛を伏せ。皆降参を申しけり。尊の御宇より御狩場を始め給へり。頃は神無月。二十日余りの事なれば。四方の紅葉も冬枯の。遠山にかゝる薄雪を。眺めさせ給ひしに。
シテ「夷四方を囲みつゝ。
地「枯野の草に火をかけ。余炎しきりに燃え上がり。かたき攻鼓を打ちかけて。火炎を放ちてかゝりければ。
「血は?鹿の川となつて」といい、「余炎しきりに燃え上がり」といい、次第に興奮が高まってくるうち、シテは扇を大きくかざして剣を抜く仕草を見せ、「忽ちこゝにて失せてんげり」のところに来て、身振り大きく足を動かし、敵を蹴散らす様子を演ずる。
シテ「尊は剣を抜いて。
地「尊は剣を抜いて。あたりを払ひ。忽ちに。炎も立ち退けと。四方の草を。薙ぎ払へば。剣の精霊嵐となつて。炎も草も。吹き返されて。天にかゞやき地に充ち/\て。猛火は却つて敵を焼けば。数万騎の夷どもは。忽ちこゝにて失せてんげり。其後。四海治まりて人家戸ざしを忘れしも。その草薙の故とかや。唯今。汝が打つべき其の瑞相の御剣も。いかでそれには劣るべき。伝ふる家の宗近よ。心安く思ひて下向し給へ。
童子の語ることをますます不思議に感じた宗近は、その正体を確かめようとするが、童子は名を名乗らず、ただ剣を打つ準備をせよと言い残して去る。
ワキ詞「漢家本朝に於て剣の威徳。時に取つての祝言なり。さて/\御身は如何なる人ぞ。
シテ「よし誰とてもたゞ頼め。まづ/\勅の御剣を。打つべき壇を飾りつつ。その時我を待ち給はゞ。
地「通力の身を変じ。通力の身を変じて。必ずその時節にまゐり会ひて御力を。つけ申すべし待ち給へと。夕雲の稲荷山。行くへも知らず失せにけり。行くへも知らず失せにけり。
(中入)間狂言では、宗近の下人が出てきて、これまでの事情を復唱したうえで、童子の言葉に従って壇を設えるべき趣旨を述べる。その言葉に従って、舞台には壇が設けられる。
後シテは稲荷明神そのものである。小飛出という狐に似た獣様の面を被り、冠には狐の像を戴いている。
ワキノツト「宗近勅に随つて。即ち壇にあがりつつ。不浄を隔つる七重の注連。四方に本尊をかけ奉り。幣帛を捧げ。仰ぎ願はくは。宗近時に至つて。人皇六十代。一条の院の御宇に。其職の誉を蒙る事。これ私の力にあらず。伊弉諾伊弉冉の。天の浮橋を踏みわたり。豊芦原を探り給ひし御矛より始まれり。その後南瞻僧伽陀国。波斯弥陀尊者より此方。天国ひつきの子孫に伝へて今に至れり。願はくは。
地「願はくは。宗近私の功名にあらず。普天卒土の勅命によれり。さあらば十方恒沙の諸神。唯今の宗近に力を合はせてたび給へとて。幣帛を捧げつゝ。天に仰ぎ頭を地に付け。骨髄の丹誠聞き入れ納受。せしめ給へや。
ワキ「謹上再拝。
(早笛)
地「いかにや宗近勅の剣。いかにや宗近勅の剣。打つべき時節は虚空に知れり。頼めや頼め唯たのめ。
曲は終末に向かっていよいよ高まりを見せ、勢いのよい囃子にのってシテの舞がある。そして、稲荷明神、宗近ともに壇上に上がり、互いに呼吸を合わせて剣を打つ仕草を演ずる。クライマックスに相応しい、迫力ある場面である。
(舞働)
後シテ「童男壇の。上にあがり。
地「童男壇の。上にあがつて。宗近に三拝の膝を屈し。扨御剣の。鉄はと問へば。宗近も恐悦の心をさきとして。鉄取り出し。教の鎚をはつたと打てば。
シテ「ちやうと打つ。
地「ちやう/\/\と打ち重ねたる鎚の音。天地に響きて。おびたゝしや。
ワキ詞「かくて御剣を打ち奉り。表に小鍛冶宗近と打つ。
シテ「神体時の弟子なれば。小狐と裏にあざやかに。
地「打ち奉る御剣の。刃は雲を乱したれば。天の叢雲ともこれなれや。
シテ「天下第一の。
地「天下第一の。二つの銘の御剣にて。四海を治め給へば。五穀成就も此時なれや。即ち汝が氏の神。稲荷の神体小狐丸を。勅使に捧げ申し。これまでなりと言ひ捨てゝ。又群雲に飛び乗り。又群雲に。飛びのりて東山稲荷の峯にぞ帰りける。
稲荷明神自ら、稲荷の神体小狐丸を勅使に捧げて、一曲は終わる。この結末から見ても、この曲は刀鍛冶の職能集団と深いかかわりのあったことを伺わせる。
さて、京都の三条通り沿いに、三条宗近の旧居跡と題する碑石が、謡蹟として立てられている。宗近の実像については、あまりわかってはいないようだが、平安時代に生きた刀工(小鍛冶)であったことは間違いないらしい。三条の銘のある刀剣「三日月三条」が国宝に指定され、天下の五名剣に含められている。
また、祇園祭の長刀鉾の鉾頭の長刀も宗近の作と伝えられている。
黛の『金閣寺』 156
作曲:黛 敏郎
原作:三島由紀夫
台本:クラウス・H・ヘンネベルグ
原語:ドイツ語
演出:ヴィンフリート・バウェルンファイント(ベルリン・ドイツ・オペラ歌劇場 第一演出家)
1997年11月29日(土)18:00開演 大阪音楽大学カレッジ・オペラハウス 指揮:岩城 宏之 演出:栗山 昌良 製作:日下部 吉彦
溝口:井原 秀人 鶴川:安川 佳秀 父:油井 宏隆 女:坂井 美樹 母:西垣 千賀子 柏木:西垣 俊朗 若い男:清水 光彦 娼婦:星野 隆子 道詮:松下 雅人 有為子:児玉 祐子
オペラハウス合唱団 オペラハウス管弦楽団
初めてこの作品を観たときは、ドビッシーの『ペリウスとメリサンド』のようだと思った。
二度目の鑑賞である今回、ストラビンスキーの影を感じた。
黛、さほどの作曲家ではないと思った。
ラストの、繰り返される、お経の合唱だけは、感動した。
溝口を演った井原 秀人、気持ち悪かった。
見た目(ビジュアル)は、実力(歌唱力)と同じぐらい大事な要素であることを、実証した舞台。
画像でも分かるとおり、藤山寛美の松竹新喜劇の一場のようである。
カラヴァッジョを見に行った
デレク・ジャーマンの映画で、ガラヴァッジョの名を知った。
今から25年前のことだ。
正直、当時、ボクのオツムは、あの巣晴らし映画を消化することが、できなかった。
閑話休題。
(本物が来ていることを信じての話だが)実物のガラヴァッジョを目の当たりにした。残された数が少ない、画家の作品である。
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(伊: Michelangelo Merisi da Caravaggio、1571年9月28日 - 1610年7月18日)の作品は、
約60点が、確認できるそうだ。
そのうち、この展覧会は 11点の展示。凄いかも。
寡作の画家作品は、寡作だという希少性が錯覚させるのか、なぜかいい。
ダ・ビンチ、10数点。
フェルメール、30数点。
また、閑話休題。
今回来ていたのは、馴染みの深い、よく目にする作品ばかり。(これでは、偽物と疑わないほうが馬鹿かも)
『果物籠を持つ少年』と、最近発見された『マグダラのマリア』の2作品が、特によかった。
画面を、ナメクジが這っていても不思議はないような、ジメジメとした暗い雰囲気。
チラッと見え隠れるする、狂気の匕首の輝きの音が、聴こえてきそうだった。
すさまじい、天才。
この画家は、偉大だ!
白鳥の湖 見比べ
なんと、『白鳥の湖』の初演は、失敗に終わった。
1877年、モスクワのボリショイ劇場でのことだ。
成功を収めたのは、1894年ペテルブルクのマリインスキー劇場での、チャイコフスキー追悼公演であった。
レフ・イワーノフ振付演出の第2幕のみが上演され、始めて成功したのだ。
翌年には、全幕も新演出で、初演された。
この1894年の全幕改訂
マリウス・プティパ&レフ・イワーノフ版『白鳥の湖』は、第1幕&第3幕がマリウス・プティパ振付、第2幕&第4幕がイワーノフ振付であった。
この改訂版が現在までの主流となっている。
ところで、スターリンは、このバレエを深く愛し、何度もモスクワの劇場で観たという。
そして、『白鳥の湖』を観たあと、死刑許可の最終書類に、サインをしていたと、言う。
管理人は、このバレエが大好きである。純情なオデットと、妖艶なオディールの踊りわけ。
歌舞伎顔負けの、大見得を切るような、ポーズの数々。人であり、鳥である、その間を揺れ動く仕草の交ざり具合。哀愁ただよう、ロマンチックな音楽のむせかえり。
ルドルフ・ヌレエフ版『白鳥の湖』は、1877年初演の台本に基づきヌレエフ本人が振付&演出を行っている。
ため、現在一般的なマリウス・プティパ&レフ・イワーノフ版(台本はモデスト・チャイコフスキー)とは構成も振付も異なる。
ヌレエフ版はジークフリートに見せ場が多く、道化は登場しない。物語を王子の目を通して再構築し、最後はジークフリート一人で溺れ死ぬ悲劇のラストを構想した。
ブルメイステル版『白鳥の湖』は、数ある演出の中でもひときわ豪華と言われている。
①ウィーン国立バレエ団 2014年
オルガ エシナと、ヴラディミール・シショフ 以外は、硬かった。
女王の嘆き崩れ、気を失うことろ、大好きなのに、ちょっと物足りない。
最後は、王子が湖におぼれて(多分)死ぬという、ルドルフ・ヌレエフ版での演出。
オルガ エシナは、豊満な黒鳥を踊った。
ヴラディミール・シショフの王子は、爽やかだった
[出演]オルガ・エシナ(オデット/オディール)ウラジーミル・シショフ(ジークフリート王子) [振付&演出]ルドルフ・ヌレエフ[オリジナル振付]マリウス・プティパ&レフ・イワーノフ [指揮]アレクサンダー・イングラム[演奏]ウィーン国立歌劇場管弦楽団[収録]2014年3月ウィーン国立歌劇場[映像監督]ミヒャイル・ベイヤー
②デンマーク王立バレエ団 2015年
光の舞台、素敵だった。衣装もすごくいい。
『ローエングリン』にも使えそうな演出。
シンプルで、踊りが引き立った。
ジェイム グランドールは、『サンセット大通り』のグロリア スワンソンのようだった。
アルバン レンドルフ の王子に、彩色がなかった。
最後は、黒鳥と王子が結ばれ、悪の支配する国になった、あるいはなるかも、と言った解釈の舞台だった。
オデット・オディール J'aime Crandall
ジークフリート王子 Alban Lendorf
③アメリカン バレエ シアター 2005年
少女が、ロットバルトによって、白鳥に変身させられるところから始まる。
洞窟に何度もホオリ込められ、何度目かで白鳥に変身。
もう少し、芸はないものか!
最後は、オデットが湖に身を投げ、ジークフリート王子も後を追い、心中する。そして、昇る朝日の中に、その二人の姿が映り、死によって総てが浄化して幕。
アメリカーンらしい。安易かな!
ロットバルトが、ハリウッド的なクリーチャーであった。
みんなスタイルがよくて、安心して鑑賞できた。
これに比べて、日本のダンサーは、一昔前よりましと言えども、まだまだ!
オデット / オディール:ジリアン・マーフィー ジークフリート王子:アンヘル・コレーラ
振付:ケヴィン・マッケンジー 指揮:オームズビー・ウィルキンズ 演奏:ケネディ・センター・オペラハウス管弦楽団
④スカラ座 バレエ団 2004年
ボリショイの名花スヴェトラーナ・ザハーロワと、
ミラノ・スカラ座のスター、ロベルト・ボッレが競演した不朽の名作。
数ある演出の中でもひときわ豪華なブルメイステル版。
スヴェトラーナ・ザハーロワ(オデット/オディール)
ロベルト・ボッレ(ジークフリート王子)
ジャンニ・ギスレーニ(悪魔ロットバルト)
アントニーノ・ステラ(道化)
[振付&演出]
ウラジーミル・ブルメイステル、レフ・イワーノフ(第2幕)
[装置&衣裳]
ロベルタ・グイディ・ディ・バーニョ
[指揮]ジェイムズ・タッグル
[収録]2004年4月アルチンボルディ劇場(ミラノ)
ミラノ・スカラ座バレエ団の踊りがいまひとつ。
間が悪いし、すぐフラつく。ピシッと決まらない。
序奏で、少女が白鳥に変えられるシーンがあった。
悪魔のマントの棚引く裾で、割と自然に、変身した。
舞台は、ヴェルディの『ドンカルロ』か、ドニゼッティーや、ベッリニー臭があった。つまり、いかにも、イタリアオペラの揺籠に育てられた感じがした。
三幕から、素晴らしかった!
演出がいい。悪魔が率いる舞踏団にまぎれて、オディールがチラチラ見え隠れし、王子に勿体つけて誘惑を繰り返す。
ミラノ・スカラ座バレエ団のダンスも、乗ってきて、下手さが減少してもいた。
最後は、王子が悪魔を湖に沈め、オディットは白鳥から少女に戻ってエンド。
⑤マーゴ・フォンテインと、ルドルフ・ヌレエフ
ウィーン国立歌劇場バレエ団 1966年
それにしても、何とかならないか!
不細工な、ジークフリートとオディット(オディール)である。
ヌレエフ 28才、フォンティン 47才。
が二人は、柳のように、しなやかで、たわめた枝は手を放すと、少しの間を置いて優雅に撥ね返る、そんな緩急のある動きで踊っている。
それも一つ一つの動きを、噛んで含めるように、観衆に見せている。かつ、涙が出るほどに、また、細かいディティールにこだわって、フォンティンは白鳥らしく、ヌレエフは物憂い王子らしく踊っている。ヌレエフのヒップラインは凄い!
フォンティンは、47才で!
前時代的なロマンティズムに溢れた二人の舞踏。しかも、いかにも真面目な舞踏。
エディット・ピアフや、五代目菊五郎や、マリア・カラスの時代、つまり、演技過剰な時代の薫陶を、真に受けたアーティストの舞踏である。
マーゴ・フォンテインの足と腕の優雅さ。
折れ曲がる背中。
ヌレエフの飛翔。
人間離れした、グラン・パ・デゥ・ドゥ。
何と甘く、蠱惑的な『白鳥の湖』であったことか!
[振付&演出]ルドルフ・ヌレエフ
[出演]マーゴ・フォンテイン(オデット/オディール)ルドルフ・ヌレエフ(ジークフリート王子)ウィーン国立歌劇場バレエ団(脚並みが揃っていて気持ちいいだけでなく、美しい)
[美術&衣裳]ニコラス・ゲオルギアディス[装置]フリッツ・ユプトナー=ジョンストルフ&フリッツ=ガブリエル・バウアー[撮影]ギュンター・アンダース
[指揮]ジョン・ランチベリー[演奏]ウィーン交響楽団(さすがの、音であった)
[監督]チオルック・ブランス[制作]1966年
⑥キーロフ劇場 バレエ 1990年
古典バレエの神髄、プティパ、イワーノフの原振付により忠実なスタイルを踏襲する旧レニングラード キーロフ劇場バレエの大ヒット作!
収録:1990年12月 レニングラード キーロフ歌劇場
音楽:チャイコフスキー 原振付:プティパ&イワーノフ 台本:ベーギチェフ&ゲーリツェル コンスタンチン・セルゲイエフ版 改訂演出:ワガーノワ、セルゲーエフ&リュプコフ 舞台装置:I.イワーノフ 衣裳:G.ソロヴィヨーワ
配役
オデット/オディール:ユーリヤ・マハーリナ
王子ジークフリード:イーゴリ・ゼレーンスキー
悪魔ロットバルト:エリダール・アリーエフ
道化:ユーリ・ファテーエフ
キーロフ歌劇場管弦楽団 指揮:ヴィクトル・フェドートフ
この『白鳥の湖』は、マッシュ・ボーンのそれの次に、数多く鑑賞した舞台。
繰り返し鑑賞したのは、VHS。ずいぶん、昔の話です。
さて、久しぶりに鑑賞して思ったことは、 ユーリヤ・マハーリナは、白鳥より黒鳥が圧倒的に上手である。「パッシ、パッシ」とキレのある動きを、フテブテしい笑顔を浮かべて踊りきっている。間の取り方が、少し下手であるが、スピードのある舞踏では、それも気にならない。脚が、真一文字に、ピンと拡がり伸びるところも、素敵。
イーゴリ・ゼレーンスキーは、やはり、ジャンプが凄い!高い!本当に、宙で止まっているようにさえ思える。どうして、宙で止まっているように見えるのか、詳細に観察してみたら、一番高いところで、もう一分頑張り股を広げていた。これが高さの秘密のようだ。高さも、凄いが、ピョん!ピョん!とっても、ダイナミック。ヒップがプルンとしてなくて、残念。
ピエロのユーリ・ファテーエフは、とても上手なダンサーであった。
⑦国立モスキワ クラッシック バレエ団 2005年
振付:M.プティパ、L.イワノフ、A.ゴルスキー、A.メッセレル、N.カサートキナ、V.ワシリョーフ
改訂演出:N.カサートキナ、V.ワシリョーフ
美術:T.グッドチャイルド
衣装:K.ベイカー
オデット・オディール マリナ・ルザニコワ
王子 ニコライ・チヴィチロフ
悪魔 マキシム・ジェラシモフ
マリナ・ルザニコワは、股関節も硬いし、表現力も左程ではないが、凄い美貌なので、最高の舞台となっている。ただ、少し、腕と足が太いのが難点かなぁ~。衣装は、ビザンツの雰囲気が濃厚で、ロシアムードまんてんで、満足マンゾクの、仕上がりです。見た目は、実力と同じぐらい大事な要素であることを実証した舞台でした。
パリ・オペラ座のエトワール ピエトラガラ&デュポンが演じた、ブルメイステル版による華麗な上演!
<キャスト>
オデット/オディール:マリ=クロード・ピエトラガラ
王子ジークフリート:パトリック・デュポン
道化:エリック・キエレ
悪魔ロットバルト:オリヴィエ・パテ
振付・演出:ウラジーミル・ブルメイステル
衣装:毛利臣男
●345年の伝統と栄光に輝くパリ・オペラ座による、バレエの中では最もポピュラーな演目である「白鳥の湖」です!マリウス・プティパ、レフ・イワノフ振付によるロシア古典バレエの最高峰である「白鳥の湖」は、数々の解釈や演出によって上演されていますが、パリ・オペラ座では、このブルメイステル版と1983年から1989年まで芸術監督だったヌレエフによるヌレエフ版が一時交互に上演されていました。
●今やエトワール(パリ・オペラ座バレエの最高位に属するダンサー)になって文字通り輝いているスター・ダンサー ニコラ・ル・リッシュやアニエス・ルテステュの若い頃の瑞々しいダンスを観ることができます!