『根津美術館』の美
ボクは、名勝地の視界画像が、ドラマを語っていなければ、満足できないのです。
視界のドラマとは、遠と近、直と曲、光と陰、躁と鬱、せめぎ合いです。
ところで『根津美術館』の建築デザイナーは、隈研吾(くまけんご)氏です。
このデザインで、毎日芸術賞を受賞されたそうです。
この通路に導かれて、美術館の入り口に至ります。
『根津美術館』は茶道具の一大コレクションを誇っています。
根津嘉一郎のコレクションです。
大名家にあった名物の品々は、明治時代に次々と富豪の下に集まります。
ですから、『静嘉堂美術館(三菱)』・『三井記念美術館(三井)』には、
名だたる名物がそろっています。
それに負けないのが、大阪の『藤田美術館』です。
明治の富豪 藤田伝三郎のコレクションを展示しています。
伝三郎は、茶道具の収集に異常な執念をみせた人でした。
西南戦争で巨万の富を得ていますが、茶道具に相当つぎ込んだのではないでしょうか?
ですから、別格です。
その次に格が高いコレクションを持っているのが、
住友の『泉屋博古館(せんおくはくこかん)』。
そして、『根津美術館』ではないかと思うのです。
さらに下って『畠山記念館』、『五島美術館』。
ところで、『根津美術館』は、そのコレクションもさることながら、庭が素晴らしい。
特に、石の織り成すドラマが、歩みを進めるごとに、様々なストーリーで展開する。
ドラマのある庭。
それも石のドラマ。
根津嘉一郎は本物だった、そう思えるひと時が味わえます。