黄昏を迎えるゲイの独り言 『おセックス』の話 その2
わたくしは、非常に匂いに敏感なゲイなのです。
脇や股間には、アポクリン腺(もう一つの汗腺がエクリン腺)が集中しております。
このアポクリン腺から出る汗が細菌により分解されると、あの独特な匂いを作り出します。ワキガ臭です。
わたしくは、あの臭いが大っ嫌いなのですが、スイッチが入ると、好ましく感じます。
ワキガ臭は、もともとセックスする相手を捜すシグナルであったという説があります。うなづけます。
さて、日本人はとても清潔好きな民族と言われています。
神道は、穢れをきらいます。
あの伊勢神宮の清潔感を思い描いてみてください。
そして仏教もまた心身の清潔を保つように諭しています。
ブッダは、『ダンタ・カーシュタ』という楊枝でもって、口内を清潔に保つことを弟子に教えたようです。ちなみに、『ダンタ・カーシュタ』が『デンタル』の語源のようです。
道元は『正法眼蔵』の中で、口内清掃について事細かく記載しています。
日本人の口内清掃に対するこだわりは、世界的にも突出していたものらしいです。
江戸っ子は、口臭をずいぶん気にかけていたらしいです。
口が臭いと嫌われ、『無粋』の典型のようにされたそうです。
『おセックス』は、人と人が、緊密に接する行為です。
当然、相手の臭いは脇・股間に限らず、襲い掛かってくるわけですが、中でも口臭は一番影響を受けます。
ところで、350人ぐらい、今まで『おセックス』をしてくたことは、『おセックス』の話 その1でお伝え済みですね。
350人を思い出してみて、やはり口臭がキツかった人間のことは、負の記憶として心に残っています。
ここからが本題です。
350人の中には、『ウリ専』の子も数えています。
わたくしは、一時『ウリ専』にハマった頃がありました。350人のうち、30人ぐらいは『ウリ専』の子たちです。
彼らの多くは、リステリンなどで口内洗浄を行ってから、コトに進みます。
念が入っている子になると、アロマのリップまで付けます。
キスをすると、複雑な香りがします。
ただ、それらの効果も20分ぐらいで消滅です。
さて消滅してから、その子の匂いがしてきます。
では、それが臭いのか臭くないのかですが、別に素人と違いはありません。
臭い子もいれば、臭くない子もいます。
体を張っている子は、今も昔も変わらずにいました。
平安時代以降、寺に稚児という子がいて、高僧の身の回りの世話から夜のお相手までしていたそうです。高僧のお相手をする前には体を清めて、丁子を口に含み何度も口を漱いでコトにのぞんだそうです。
江戸時代の庶民は、千葉産の磨き砂に丁子や白檀などの香料を混ぜたものを歯磨き粉として、柳の枝で作った房楊枝で、口内清掃をしていたようですから、陰間の色子も、それでメンテナンスをいたのだろうと想像されます。
ちなみに「兼安までは江戸の内」と言われた兼安祐悦(カネヤスユウエツ)の店は、歯磨『乳香散ニュウコウサン』で行列ができていた店です。
しかし、そのように神経質にメンテナンスしていたのも、都会の一部の人間だけであったように思われます。
東京大学教授で医学博士であり人類学者でもあった鈴木尚(ひさし)の『骨は語る 徳川将軍・大名家の人々』を読んだことがあります。
芝・増上寺の徳川の墓の遺体を分析した記録です。
それによると、将軍ですら歯並びが悪く、歯槽膿漏、虫歯の進行が見られたとのことです。
贅沢で脆弱な食生活の影響もあるでしょうが、華麗なる一族でさえそうなのですから、庶民の口内の状況は推して知るべしです。
特に地方は、想像することさえ・・・・・・・。
歯槽膿漏や虫歯は、感染症だそうです。
ゲイは、一概に言い切れませんが、無特定多数の人と『おセックス』をしてしまいます。
『おセックス』の前には相手への思いやりとして、『おセックス』の後は自分のためとして、口内清掃を徹底してくださいね。
そのまま寝てはいけませんよ。
ところで、『おセックス』の話 その2は次のように括ります。
放埓な『おセックス』を楽しんだ人は、口内が汚いです。
正直言いましてわたくし、お口を見たらその方の生活や『おセックス』事情がだいたい想像できるのです。
ヴェネチア フェニーチェ劇場