晩年を迎えたゲイの独り言 7代目尾上菊五郎
菊五郎の弁天小僧を、歌舞伎座で観たのは、20年ぐらい前であったような気がする。
先日のNHKの『歌舞伎座杮落し公演』で見た菊五郎が、もう少し若かった頃の舞台だ。
黙阿弥の本があまりにいい(現在の感覚で見ると不必要な役とか台詞もあるが、そこは差し引いて)ので、中年の菊五郎に少し違和感を持ちつつも、満足していた。
しかし、『杮落し』の菊五郎は、哀れにさえ思った。
もう、二度と弁天小僧はやらないで欲しい。
世阿弥は『風姿花伝』で、44歳を過ぎたら『面』をつけない演目をやってはいけない、50歳を過ぎたら脇に徹しチラっと顔を出し『花』を匂わすぐらいにしておけ、と言い切っている。
600年近く前の感覚かもしれないが、言い得て妙。
とにかく何事につけ、年寄を頑張らせる時代は、早く終わって欲しい。
時代そのものが哀れで醜い。
あともう一言、梨園の役者の顔って、歳を重ねると下品になるね。
『杮落し』に勢揃いした名人と言われた役者たちを観て、その厚化粧の下に、言葉にならないモノを感じたのはボクだけだろうか。