『ゲイ術 三昧の日々』

このブログは、管理人(ゲイです)の『オペラ』に関する個人的な備忘録です。そして、もう一つ、日々の感慨の記録です。

『法起寺 三重塔』の美

 

斑鳩の里』と、のどかな言葉で呼ばれる法隆寺界隈は、飛鳥時代には最先端ビンビンの場所でした。

 

ところで斑鳩三塔の一つ国宝『法起寺』三重塔を、遠巻きに、民家の屋根から垣間見たときの感動は、今でも忘れられない。
震えるような感動とは、まさにあのこと。

 

一歩一歩、『法起寺』に近づくたびに、その三重塔は不思議な表情を見せてきた。

 

だいたい仏塔は、釈迦の仏舎利を納めた塚である『ストゥーバ』がオリジナルで、信仰の対象であると同時に目印であった。だからウエルカムの前提がある。

 

三重塔や五重塔が、親しみある優しい表情をしているのは、そのためである。
ただこの『法起寺』三重塔は、親しみはあるのだが何か違うなぁ、・・・・・・、とにかくそう思いながら『法起寺』に近づき、そして門を潜ったのだ。

 

と、ド~ンっと目の前に三重塔が出現した。
小柄な塔が、プライド高く毅然とそこに建っていた。
東寺や興福寺の大きな塔にも負けないほどのプライドがあった。
なるほど、複雑な親しみの源は、このプライドにあったのかと、納得した。

 

ところで、今でこそ、のどかなこの場所が、飛鳥時代に最先端ビンビンの場所であったのは、先進の大陸から渡ってきた新しい学問である『釈迦の教え』を学ぶ場所、『岡本宮』であったからだ。

 

大陸の、合理的で科学的な、人生の矛盾を(当時の感覚レベルで)解決してくれる『教え・仏教』の、その研究機関としてのプライドが、濃厚に今に残っている。

 

だから、この毅然さがあるのだ。

 

やれ、『地獄』だ『極楽』だ、『戒名』だ『命日』だ、それ『お布施』だと、
見たこともないものを見たように言い脅迫し、金を巻き上げる腐りきった詐欺団体がある。
(まあ、騙されるほうにも問題があるのだ。)
『葬式商人』になり下がった今の『仏教界』のことだ。
しかし『岡本宮』には、真摯で純朴でプライドに満ち満ちた『仏教』を学ぶ気配があった。
その残光は、1300年以上の年月が経過した今でも、輝きを鈍らせていない。

 

そう思うと、なんとなく宇宙に飛び立つロケットのように見えてきた。

 

ところで、ロケットついでだが、ロケットのように見えるのは最上階の屋根の勾配がキツイことと、各層の逓減が大きいためである。

 

各層の逓減は昔のままであるが、最上階の屋根の勾配がキツイの原因は、後世の作り直しのためである。

 

奈良時代までの塔の最上階の屋根の勾配は、緩く、平らに近いほどであったと言う。
しかし平らにすると水はけが悪く、腐敗しやすいので、勾配をキツク作り直すようになった。

 

古い形状の屋根の勾配は、元興寺の五重塔や、薬師寺に再建された西塔などで確認できる。

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