ヘンデル、やはりいい、『エジプトのジャリアス シーザーGiulio Cesare in Egitto』 137
137、『エジプトのジャリアス シーザーGiulio Cesare in Egitto』 2013/9/2
初演は1724年2月20日、ロンドンのヘイマーキットのキングス・シアター 39歳
ゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデル (1685~1759)
ザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭2012から (管弦楽)イル・ジャルディーノ・アルモニコ
(指揮)ジョヴァンニ・アントニーニ 振付:ベアテ・ヴォラック 演出:モーシュ・レゼール、パトリス・コーリエ
~オーストリア ザルツブルク・モーツァルト劇場で収録~
ジュリアス・シーザー(ローマの将軍):アンドレアス・ショル:カウンター・テナー
クレオパトラ(エジフトの女王):チェチーリア・バルトリ
コルネリア(ボンペーオの妻):アンネ・ゾフィー・フォン・オッター
セスト(コルネリアの息子):フィリップ・ジャルスキー:カウンター・テナー
トロメーオ(クレオパトラの弟でエジプト王):クリストフ・デュモー:カウンター・テナー
アキラ(エジプトの将軍):ルーベン・ドロ一レ
ニレーナ(クレオパトラの腹心):ヨッヘン・コヴアルスキー:カウンター・テナー
クリオ(ローマの執政官):ペーター・カールマーン
カウンターテナーを存分に味わいました。
シーザーの時代を、現代に置き換えての演出。
ボクは、時代の置き換えの演出には、ものすごい嫌悪感を持つのだが、今回は感動に近い満足さえ味わった。
これが古典派やロマン派、あるいは近現代のオペラだと、「また、こまっしゃくれた事をして」と思うのだが、バロックのオペラだとあまりにも音が現代離れしているためか、面白いかもと感じた。
この舞台の演出が実にいい。色彩が特にいい。奇想天外さも、ここまでしてくれたら、面白い。
アリアとアリアをレチタティーヴォでつなぐだけのバロックオペラだから、よかったのだ。
ワーグナーなヴェルディのような、大げさな音のうねりやドラマがあると、「やり過ぎ」が鼻につくだろう。
前に、ダミアーノ・ミキエレット演出の2012年 ザルツブルグ音楽祭の『ラ・ボエーム』に、空飛ぶスーパーマンのようなものが出た。
しかしプッチーニのオペラの行き過ぎは、「こまっしゃくれた感」がどうしても出てしまう。
音も展開も、今の自分たちに近いので、人肉を共食いするような違和感が出てしまうのだ
ところで、ヘンデルのアリアはいいです。美しい。
とにかく、いい舞台、いいオペラでした。
※コントラテノール・アルトゥスcontratenor altus(contraはラテン語で〈…に対する〉の意味で,テノールに対して高い声部をいう)の声部は男声のファルセット(裏声)によって歌われ,イギリスではその歌手をカウンター・テナーと呼んだ。