『ゲイ術 三昧の日々』

このブログは、管理人(ゲイです)の『オペラ』に関する個人的な備忘録です。そして、もう一つ、日々の感慨の記録です。

完全完璧なバロック舞台の再現、『カドミュスとエルミオーヌ Cadmus et Hermione』 140

『カドミュスとエルミオーネ』2013/9/18 初演1673年

ジャン・バティスト・リュリ Jean-Baptiste Lully仏1632-1687・伊出身

指揮:ヴァンサン・デュメストル 演奏:ル・ポエム・アルモニーク

舞台監督/バンジャマン・ラザール 舞踏振り付け/ギュドラン・スカンレッツ 舞踏振り付け/ギュドラン・スカンレッツ 2008年1月 会場:オペラ・コミック座(パリ)

カドミュス/アンドレ・モルシュ エルミオーヌ/クレール・ルフィリアートル  

アルバス・パン/アルノー・マルゾラーティ 愛の神・パレス/カミーユ・プール・ラザール

 この舞台は、「ヴェルサイユバロック音楽センターの長年にわたる研究成果をもとに、衣装や音楽・ダンス・楽器、歌詞の発音や役者の所作などはもとより、前景・中景・後景といったプラン、舞台装置や背景絵画、さらには照明の光源にいたるまで、徹底して17世紀当時のスタイルを復元」。

だから、凄かった!

ローソク(ゆらめきが薄かったからライトかも)によるフットライトを使用。

歌手たちの顔の化粧は、その下側からの光に映えるような形で白塗りだ。(当時の白粉には、鉛白が使用されていた。であるから鉛中毒により、胃腸病、脳病、神経麻痺を引き起こし死に至る事例が多く、また日常的に多量の鉛白粉を使用する舞台俳優は、特にその症状が顕著であったという)

手と腕を中心にしたジェスチャーはさりげない感じだが、どうも美しく見えるように手も化粧している。

歌手は大抵の場合客席のほうに向いて歌い(表情がよく見えるように)二重唱の曲でも互いに向かい合って歌うということはほとんどない。衣装は当時の貴族のものか、豪華であった。

 
コレギウム1704  指揮:ヴァーツラウ・ルクス『リナルド』 も、相当なリバイバルの舞台であったが、これはそれを完全に凌駕していた。フランスの貴族が観ていた舞台そのものだった。

  「トラジェディ・アン・ミュジーク」、あるいは「トラジェディ・リリーク」(叙情悲劇)と呼ばれるフランス・オペラが成立したのは17世紀末。

その立役者が、リュリと台本作家フィリップ・キノーでした。

彼らのコラボレーションによる最初(リュリのオペラ第一作)が、この《カドミュスとエルミオーヌ》。

この作品がフランス・オペラの歴史をひらき、さらにその後に作られた彼らの十数作のオペラが、フランス・オペラの基本的な型を確立したのです。

 フランス・オペラの基本的な型――すなわち、①主題を悲劇に求め、②序曲に始まり、プロローグと5幕で構成される、というその型は、リュリの死後もオペラ作曲家たちによって遵守されていくことになります。マラン・マレしかり、アンドレ・カンプラしかり、そしてまた、ラモーもこの型を忠実に守っています。その意味で、ラモーのオペラは、リュリに始まるフランス・オペラの伝統の直系に位置付けられるものであると言える。

リュリの影響力は、宮廷舞曲そのものの様式にも急激な革命をもたらした。それまで支配的だった緩やかで荘重な動きに代わって、急速な動きの舞曲をリュリが採り入れたからである。リュートクラヴサンを始めとする器楽曲の発展も重なり、ブレガヴォットジーグパスピエメヌエットサラバンドシャコンヌなど新しい舞曲が流行する一方で、中世からルネサンスを経て受け継がれてきたいくつかの舞曲は流行おくれとなって廃れた。

と、以上、フランス・バロックに詳しくないので、忘備録として調べたことを載せました。

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