2013年 12月に観た映画
その昔、『木下恵介アワー』という番組がありました。
木下恵介プロディース一時間ものドラマです。
物凄い幼子であったボクには、死ぬほど退屈な番組でした。
その印象があってか、木下恵介には、いいイメージがなかったのです。
が、たまたま先月に見た『カルメン故郷に帰る』と、『カルメン純情す』の2本の、その圧倒的な画像美にノックダウンされてしまい、今月も、のっけから、木下恵介ザンマイで、スタートです。
木下恵介は、ゲイらしい女性の描き方をしています。
何と言ったらいいのか、いじめているような、敬愛しているような、崇拝しているような、侮辱しているような、そんな複雑な描き方をしています。
これは、同じゲイでなければ、分からない感覚であり、同じゲイでなければ見抜けないものでしょうね、きっと。
しかし、端正な画像です。
この端正さは、小津安二郎以上ではないかと思います。
更に、小津のような、わざとらしさもないです。
丁寧に美しく、こだわって、こだわって、撮って編集している状況がよく分かります。
田中絹代の使い方などは、溝口以上ではないでしょうか?
溝口の絹代は、全部大根なのですが、木下の下では、素晴らしい女優です。
『陸軍』のラストで、息子の出征を見送る母親を、ロングで撮っています。
この絹代の表情の素晴らしいこと。。。。。
この有名な映画では、木下は海と灯台の美しさが、撮影したかったのではないでしょうか?
ストーリーは、今二つでした。
ベンベンと義太夫が流れる中、姥捨ての物語がすすみます。
今村昌平の映画とどっちがいいかと言うと、今村のほうがいいです。
ここまで義太夫を使うなら、少し人形振りや、実際の人形も出せばよかったのにね。
この年の11月と12月は、NHK大河ドラマ『太平記』と『風と雲と虹と』に集中したため、オペラも映画も、あまり観なかった。
太平記の時代は大好きです。
あと、平将門が今一つ理解していなかったので、結構、勉強になりました。