『ゲイ術 三昧の日々』

このブログは、管理人(ゲイです)の『オペラ』に関する個人的な備忘録です。そして、もう一つ、日々の感慨の記録です。

ミゲル・デ・セルバンティスの『ドンキホーテ』

セルバンテスは、日本で言えば、戦国時代から江戸時代に移る頃と同時代の人である。 シェークスピアとも同時代の人で、同じ日に死んだと言われるが、それは間違っているらしい。 カトリックの暦(グレゴリオ暦)と、イギリスの暦は違うからだ。 ところで、セ…

オラトリオをオペラにする?『テオドーラ Theodora』138

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(Georg Friedrich Händel, 1685年2月23日 - 1759年4月14日) グラインドボーン音楽祭合唱団 エイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団 ウィリアム・クリスティ(指揮) グラインドボーン音楽祭 録音時期:1996年5月14,19…

『法起寺 三重塔』の美

『斑鳩の里』と、のどかな言葉で呼ばれる法隆寺界隈は、飛鳥時代には最先端ビンビンの場所でした。 ところで斑鳩三塔の一つ国宝『法起寺』三重塔を、遠巻きに、民家の屋根から垣間見たときの感動は、今でも忘れられない。 震えるような感動とは、まさにあの…

『三千院』の美

鼻歌交じりに、細い坂道を登った記憶がよみがえります。 その坂道は、木立と小川に沿った山道で、風情はタップリでした。 ところどころに土産物屋があり、情緒を打ち消される景色もありましたけどね。 画像は、絵葉書でもおなじみの『極楽往生院』です。 厳…

『東京 国立博物館』の美

『平野湟太郎 デザイン事務所』による『東京国立博物館 法隆寺館』は、 外装も内装も、非常に美しい。 大きなガラスのエントランと、その前の方形の池と通路も素敵だ。 絶妙なバランス。 ところでデザイナー平野湟太郎氏の『湟』の字について、一言。 大きな…

ヘンデル、やはりいい、『エジプトのジャリアス シーザーGiulio Cesare in Egitto』 137

137、『エジプトのジャリアス シーザーGiulio Cesare in Egitto』 2013/9/2 初演は1724年2月20日、ロンドンのヘイマーキットのキングス・シアター 39歳ゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデル (1685~1759)ザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭20…

絶望した『タイムスクープハンター安土城 最後の1日』

ボクは、NHKの『タイムスクープハンター』と言う番組が好きでした。 風呂からあがってきたばかりのような、ツルリっと清潔な庶民が出てくる時代劇、つまり時代考証が不徹底な時代劇は苦手です。なんだか、バカにされたような不快感を味わうからです。 しかし…

やはり違和感があるスカラの『ローエングリン Lohengrin』 136

136、『ローエングリン Lohengrin』 2013/8/28 初演:1850年8月28日ワイマール宮廷劇場 1850年初演 35歳リヒャルト・ワーグナー(1813~1883)ダニエル・バレンボイム指揮 クラウス・グート演出 ミラノ・スカラ座合唱団、管弦楽団ローエ…

2013年 8月に観た古い映画

黒澤明『乱』:荒っぽい画像。わざとらしい色彩。不自然すぎるストーリー。 自己満足しきって、傲慢さに溢れ返っている。 不愉快な映画。 溝口健二『山椒大夫』:役者の演技が力み過ぎ。疲れる。 『赤線地帯』:いい。 小津安二郎『晩春』『秋刀魚の味』:似…

スカラ座の、『ドン・ジョバンニ Don Giovanni』 135

135、『ドン・ジョバンニ Don Giovanni』 2013/8/27 初演:1787年10月29日プラハ国立劇場 ヴォルフガング・アマデウス・モーツアルト(1756~1791) 指 揮:ダニエル・バレンボイム 合 唱: ミラノ・スカラ座合唱団 ミラノ・スカラ座管弦…

晩年を迎えたゲイの独り言 7代目尾上菊五郎

菊五郎の弁天小僧を、歌舞伎座で観たのは、20年ぐらい前であったような気がする。 先日のNHKの『歌舞伎座杮落し公演』で見た菊五郎が、もう少し若かった頃の舞台だ。 黙阿弥の本があまりにいい(現在の感覚で見ると不必要な役とか台詞もあるが、そこは差し…

練乳のような『トリスタンとイゾルデ Tristan und Isolde』  134

134、『トリスタンとイゾルデ Tristan und Isolde』 2013/8/22 初演:1865年6月10日ミュンヘン宮廷劇場 リヒャルト・ワーグナー(1813~1883) 指揮:ロリン・マゼール バイエルン放送交響楽団 トリスタン:ジョン・フレドリック・ウェスト…

黄昏を迎えるゲイの独り言 NHK Eテレで、歌舞伎座の杮落としの番組を見て

高齢化社会であることは、百も承知しています。 管理人の職場も、家事手伝いなどバカにしたオールドミスと、寿退社をせずに旦那と二人で強欲に稼ぎまくる女が、ウヨウヨいるせいもあるのですが、若い人間を採用することができず、完全な高齢社会となっていま…

トーマス・マンの『魔の山』

マンの小説には、しばしば国をシンボル化した登場人物が描かれます。 晩年の皮肉な小説『欺かれた女』などは、国の擬人化が非常に凝っていて面白い。 『魔の山』の登場人物もまた、ユニークな表現で、ヨーロッパの国を象徴しています。 彼らはアルプスのサナ…

カタルシスに溢れた 『トリスタンとイゾルデ Tristan und Isolde』 133

133、『トリスタンとイゾルデ Tristan und Isolde』 2013/8/22 初演:1865年6月10日ミュンヘン宮廷劇場 リヒャルト・ワーグナー(1813~1883) メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団 指揮:ジェイムズ・レヴァイン 演出:ディーター・ド…

アンナ・ネトレプコの『椿姫』  132

132、『椿姫 La Traviata』 2013/8/19 ジョゼッペ・ヴェルディ(1813~1901) ウィーン国立歌劇場合唱団 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:カルロ・リッツィ ザルツブルク音楽祭アンナ・ネトレプコ(S) ロランド・ヴィラゾン(T) …

やはり語らないわけにはいかない『失われた時を求めて』

『失われた時を求めて』の全巻を¥13000-ぐらいだったか、大学のコープで購入したのは、今から30年も前です。 大学時代、何度も挑戦しましたが、結局読み進めることができず、完読できたのは30代の後半だったと思います。半年かけて読みました。 ナ…

『母への手紙』その1

貧しい家庭であった(今も貧乏ですが)ので、家に色彩が少なかったでせいもあったのかもしれませんがお母さん、僕が小さいころ歌ってくれた、『おお、ブレネリ』とか『花』とか『流浪の民』は、大聖堂のステンドグラスのような光で、僕の脳天に差し込みまし…

『カルメン』は、やはりオペラ・コミックだね。 131

131、『カルメン Carmen』 2013/8/15 初演:1875年3月3日パリ・オペラ・コミック座 ジョルジュ・ビゼーGeorges Bizet(仏1838-1875) [指揮]アンドリス・ネルソンス[演奏]ウィ-ン国立歌劇場管弦楽団及び同合唱団、同児童合唱団 [合唱指揮]トーマス・ラング…

谷崎潤一郎『春琴抄』の調べ

日本の小説家で、文句なく一番なのは谷崎潤一郎でしょう。 これは、相当の自信をもって言えます。 あらゆる角度から語ることができる大作家です。 ここでは、『春琴抄』の文章の美しさについてお話します。 日本には短歌をいう、ことばの音楽があります。 五…

トーマス・マン『ヴァイマルのロッテ』

マンの小説世界は、わたくしの大学時代を染め上げていました。 不気味なユーモアセンス。 自虐的であると同時に高踏的なテーマ。 『芸術』(根性)と『市民』(根性)の葛藤。 貴族的で保守的なブルジョア趣味。 回りくどい屈折した文章。 皮肉タップリの狂…

トーマス・マン『ファウスト博士』

ヨーロッパでは『ファウスト』は、日本の『桃太郎さん』のように扱われていたらしい。 当然、あのゲーテも『ドクトル・ファウスト』の人形劇(旅回り一座)を子供の頃に観て、あの偉大な戯曲を書いたのです。 子供からお年寄りまで、ヨーロッパ(特にドイツ…

『夜明け前』のすさまじい文体

島崎藤村の初期には、ややシャベリ過ぎ意気込み過ぎの、若気の至りの作品がある。 しかし、『千曲川のスケッチ』や『若菜集』を読めば分かるが、若いころから文章の叙情の可能性を分かっていた、そんな作家である。 叙情といえば、ノーベル賞作家 川端康成が…

黄昏を迎えるゲイの独り言 『おセックス』の話 その2

わたくしは、非常に匂いに敏感なゲイなのです。 脇や股間には、アポクリン腺(もう一つの汗腺がエクリン腺)が集中しております。 このアポクリン腺から出る汗が細菌により分解されると、あの独特な匂いを作り出します。ワキガ臭です。 わたしくは、あの臭い…

黄昏時を迎えるゲイの独り言 『おセックス』の話 その1

その1は、『おセックス』の話。 自分は、あまりハッテン場に出入りしたクチではございませんが、それでも350人とは『おセックス』したように思います。 『ハッテン場詣で』が癖になっていた同年代(わたくし半世紀近く生きておりますが)の人は、多分3…

期待していなかったが良かった『アッティラ』 130

130、『アッティラ Attila』 2013/8/13 初演:1846年3月17日/ヴェネツィア、フェニーチェ座 ジョゼッペ・ヴェルディ(1813~1901) リッカルド ムーティー ミラノ・スカラ座 1991年ライブ フン族の王アッティラ:サミュエル・ラメイ(…

黒澤と溝口と小津 三人では誰が一番いいか?

管理人は、『映画』が好きです。 特に、『ドキュメンタリー映画』は大好きです。 閑話休題、ここにきて『黒澤』『溝口』『小津』の作品を観直しております。 若い頃には気が付かなかったところに、目が届くようになりました。 『黒澤』の骨頂は、メイハリの…

やり過ぎの『道化師』 129

129、レオンカヴァッロ『道化師』全曲 2013/8/12 初演:1892年5月21日/ミラノ・テアトロ・ダル・ヴェルメ/Teatro dal Verme, Milan ルッジェーロ・レオンカヴァッロ(1857~1919) カール・タナー(カニオ) クリスティン・ルイス(ネッダ…

『The Sun』と比較して、映画『終戦のエンペラー』を観る。

『終戦のエンペラー』は、ハリウッドが描く日本が舞台の映画です。 これだけ情報が浸透した時代です。 時代考証の相談にのってくれる人も、アメリカで、すぐ見つかるはずです。 それなのに、相変わらずの中途半端な日本の描き方をしている映画でした。 ハリ…

白粉草の美